トリガーポイント鍼治療はどんな症状に有効か?
トリガーポイントは筋肉や筋膜に由来した痛みの原因部位であることから、筋肉の痛み筋緊張に対して特に有効です。
では、筋肉が原因とされる疾患はどんなものがあるか?
教科書的には、「筋・筋膜性腰痛、肩こり、筋緊張性頭痛…..」など、筋肉が原因とされている疾患はごくわずか。
しかし、それは大きな間違いになります。
筋肉はそもそも骨に付着しています。そしてその骨は関節を構成して運動を作り出したり、骨や関節が複雑に組み合わさって骨格を形成しています。
このことから、筋肉は動作に伴う症状(痛み)に関与していることはもちろん、骨格の形成にも大きく関与していることがわかります。
例えば、変形性腰痛症と診断され、腰の曲がった患者さんがいるとします。
腰椎を変形させた原因はいくつもありますが、その一つの原因が筋肉になります。
腰椎が変形するぐらいですと、変形し始める前に腰痛があったと思います。
- トリガーポイント療法の考え方だと、腰部にトリガーポイントが形成され痛みが発生し、腰部の筋肉の環境変化(例えば、筋肉の萎縮、緊張など)が発生し、本来腰椎をサポートするはずの腰部の筋肉が正常に機能しないがために、長い間腰椎に負荷がかかり変形に至ったと考えられます。
つまり、腰痛の治療をして痛みがなくなっていれば、筋肉が正常な働きし、腰椎に負荷がかかることはなかったので、筋肉が原因で腰椎の変形は起こらなかったのではないかということです。
トリガーポイントはどんなところに形成されるか?
トリガーポイントには形成されやす部分があります。
いくつかの筋肉を例に挙げて説明します。
①筋肉と筋肉のつなぎ目や、筋肉同士が重なり合う部位
・緑色の線の部分が筋肉の境目。
腰の筋肉。
このように筋肉同士が重なり合っていたりすると、筋肉を収縮させた時に摩擦が起きて筋繊維が損傷し、トリガーポイント化しやすい部位です。
②筋肉が骨に付着する部分
・緑の丸が筋肉の付着部分。
頸から肩にかけての筋肉。
筋肉の付着部分にはとても大きな力がかかります。
例えば、バッグの取っ手が千切れたとします。
接着剤でくっ付けても、また千切れる時は接着した部分から千切れることが多いと思います。
物の付着部分には物理的にも大きな力がかかるので、損傷しやすい部分になります。
さらに頸の筋肉の場合ですと、約5kgある頭を常に支えていないので、四六時中頸の筋肉を使っていることになります。
③筋腱移行部・異構造接合部
・緑色の丸を付けた部分が筋腱移行部・異構造接合部。
赤い筋繊維から、白い腱にに変わっていく部分になります。
電子顕微鏡で接合部を見ると、実は筋繊維と腱はくっ付いておらず、膜のような物で束ねてあるだけのようです。
なので、断裂しやすく、損傷しやすいのだと言われています。
まとめ
今回はトリガーポイント鍼療法がどんな症状に有効なのかと、どんなところに形成されるのかを書いていきました。
実は人間、トリガーポイントが形成されやすい3つの条件に当てはまる部位がたくさんあります。
大体は3つの条件に当てはまる部分に形成されることが多いですが、3つの条件に当てはまらないイレギュラーな部分もあります。
体格、体型、趣味、お仕事により身体に負荷がかかりやすい部位が人によって変わっていきます。
全く同じ人間は二人といません。
知識と理論はもちろん大切ですが、イレギュラーな症例の時に経験値で差がでる治療法でもあります。