胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
ちょっと長いネーミングの筋肉ですが、この筋肉の名前は筋肉の付着部分をそのまま並べているだけなんです。
胸=胸骨(胸の前にあるネクタイみたいな骨)、鎖=鎖骨、乳突=側頭骨の乳様突起(頭蓋骨、耳たぶ下、耳の後ろ付近にある突起)を並べて表しています。
体表からも非常にわかりやすい位置にあり、振り向いた時に耳の後ろから両鎖骨中央にかけて、頚を斜めに横断する様に大きく浮かび上がって見えます。
胸鎖乳突筋は左右両方の筋肉が収縮すると頚の屈曲(頚を前方に曲げる働き)、片方が収縮すると反対側回旋(例えば、左の胸鎖乳突筋が収縮すると、頚は右側を向きます)をする働きがあります。
・青い部分が胸鎖乳突筋で、この左側の胸鎖乳突筋が収縮すると…..
・頚を右方向に回旋させます。
胸鎖乳突筋は人間が二足歩行をするための進化の過程の中で、このようなくっきりとした大きな筋肉に発達したようです。
約5kgある人間の重たい頭部を支え、かつ柔軟に頚部を動かすために発達したのだと思われます。
したがって、地球上の重力下では頭部を支えるために、ある程度の筋力を発揮し続けなければなりません。
そのため、日常生活をしていても絶えず疲労し続ける筋肉になります。
胸鎖乳突筋は頭を常に支えていることから、疲労しやすく筋緊張により筋肉が硬くなってしまっている状態になりやすい筋肉です。そのため、トリガーポイントが形成されやすく、何かと不調の原因になる筋肉です。
また、胸鎖乳突筋はちょっと特殊な筋肉で、物理的なストレス(頭を支えるなど疲労)以外に、心理的不調・精神的ストレスでも筋緊張を発生させ、トリガーポイントを形成します。
胸鎖乳突筋が悪くなるとどんな症状が発生するか?
・頚部、顔面の浮腫み
・喉のイガイガ感、つまり感
・長く続く空咳
・微熱
・頚の傾き
・耳鳴り、耳の閉塞感
・胸の痛み
これらが代表的な症状になり、トリガーポイントがどの部位に形成されるかによって発生する症状が変わってきます。
不定愁訴の隠れた原因
胸鎖乳突筋は頚部の運動痛にも関与することはもちろんですが、そのほかにも、うつ病、パニック障害、自律神経失調、更年期障害など、不定愁訴と言われる症状を発生させている原因の一つにもなります。
これらの症状が発生している患者さんの多くが、胸鎖乳突筋のトリガーポイントが活性化している場合が多いです。
心療内科に通院されていて、心療内科系の薬を服用されている方も胸鎖乳突筋が緊張していることが多いです。
本来であれば症状が発生していてもおかしくない状態でも、薬を服用することで症状を抑制してしまいます。
そうなると、胸鎖乳突筋の浮腫や緊張に気づくことができず、持病のように長く症状と共に生活していくはめになります。
不定愁訴の原因が分からず、このような症状が発生すれば心療内科を受診し、薬物療法を中心に治療していくというのが、一般的です
ですが、原因が筋肉の緊張・浮腫によるものであれば、薬物療法はあくまで対症療法であり、根本的な解決をしない限り薬をずっと飲み続けなければいけない状態になるでしょう。
心療内科領域の症状だと思われている多くは、『実は筋肉が原因で発生していた』なんてことはたくさんあります。
長年の症状でも原因を探し出し、しっかり治療をすれば改善します。
お困りの方はぜひご相談ください。
川越の痛み・痺れ治療専門 トリガーポイント鍼灸療法 すがぬま鍼灸院