顎
顎関節症 【30代男性】
顎の関節がパキパキ鳴ったり、痛みが出て上手く口を開けられない時がある
症例報告:顎関節症(30代男性・ボーカリスト)
主訴
30代男性。バンド活動でボーカルを担当。
練習やライブが続くと顎関節に「パキパキ」とした音や痛みが出現し、時に口の開閉がスムーズにできないことがある。
また日頃から噛み締めや歯ぎしりの自覚があり、歯科にて顎関節症と診断。マウスピース治療を受けていたが改善がみられず、当院を受診された。
視診・触診
• 頚部から肩にかけて著しい浮腫を確認
• 側頭筋に浮腫、咬筋に圧痛反応を認めた
治療経過
• 1回目
頭半棘筋・頭板状筋・肩甲挙筋・側頭筋・咬筋・内外側翼突筋へ刺鍼。
治療後はやや重だるさがあるものの、痛みは軽減(10 → 8)。
• 2回目
前回に加えて後頭下筋群へ刺鍼し、頚部の浮腫を除去。
治療当日の夜は噛み締めが少なく、翌朝は顎周囲が軽快(8 → 7)。
• 3〜4回目
同様の部位へ、患者の慣れに合わせて刺激量を増加。
痛みは急速に軽減し、開閉口動作もスムーズに(7 → 1)。
• 5〜6回目
痛みはほぼ消失。開閉時の「パキパキ音」が残存していたため、内外側翼突筋・咬筋・胸鎖乳突筋を中心に治療。
音も消失し、完治に至った。
現在は、症状が再発する前に定期的なメンテナンス治療を継続中。
考察・まとめ
顎関節症は「顎の問題」と思われがちですが、実際には頚部の筋肉環境が大きく関与しています。
今回の症例でも、頚部の強い緊張と咀嚼筋(咬筋・側頭筋・外側翼突筋・内側翼突筋)のトリガーポイントが痛みの原因となっていました。
特に外側翼突筋・内側翼突筋は顎関節の前方に位置し、鍼治療でなければアプローチが難しい部位です。この部位までしっかり施術することで、短期間での改善が可能となります。
また、咀嚼筋のトリガーポイントは顎の痛みだけでなく、耳症状(耳鳴り・難聴・聴覚過敏)を引き起こすこともあります。
首コリや肩こりの自覚がなくても、実際には顎関節症と深く関係しているケースがほとんどです。
顎関節症でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。