頭部
顎の痛み【30代男性】
朝起きたら顎を開閉すると痛むようになった
『顎が痛い』=『顎関節症』と考えることが一般的だと思います。
ですが、多くの場合関節が関係していなく、咀嚼筋に形成されたトリガーポイントが原因で痛みを出している場合がほとんどです。
咀嚼筋は、『咬筋』、『側頭筋』、『内側翼突筋』、『外側翼突筋』で構成されています。
咬筋と側頭筋は体表からも触ることができますが、内・外側翼突筋は骨の裏に走行するため、鍼治療でしか治療することができません。
内・外側翼突筋を治療するかしないかで、顎関節の症状の治りが大きく変わってきます。
主訴
朝起きたら顎を開閉すると痛むようになった。
右側だけ痛む。
口が開けずらく、硬いものを噛むと痛みが強い。
歯医者では噛み合わせが悪いため、顎関節症になると言われた。
虫歯等はない。
自覚は無いが、歯ぎしりをしているらしい
時々、こめかみから目の奥にかけての頭痛が出現する。
寝付きが悪い。
触診・視診
側頭筋の浮腫、咬筋の筋緊張が診られました。
また、後頭部付近の筋肉の筋緊張および、浮腫も診られました。
治療
顎関節開閉時の痛みの原因と思われる、側頭筋、内・外側翼突筋に形成されたトリガーポイントに鍼を刺していきました。
同時に頚部の筋緊張と浮腫を取るために、後頭下筋群に形成されたトリガーポイントにも鍼を刺していきました。
首の最深部にある後頭下筋群にトリガーポイントが形成されると、噛み締めや歯ぎしりを引き起こします。
1回目:治療が終わった後は顎に重だるさはあるが、痛みが半分くらいになる。
2回目:さらに痛みが減り、10→3。
3回目:10→2。顎の開閉に支障はないが、硬いものを噛むと若干痛む。このころから寝付きも良くなり、頭痛もなくなる。
4回目:顎の痛みは完全になくなり、完治。
今回は痛みの発生から治療を開始するまでが早かったため、早期に完治まで持っていくことができました。
どの症状にも共通することですが、症状が発生してから治療開始が早ければ早いほど治りは早くなります。
顎の症状になりますと、毎日使う部位かつ、噛み締めや歯ぎしりの症状が併発している場合が多いため、徐々に症状も進行していきます。
ではそもそもなぜ、噛み締めや歯ぎしりが起こってしまうのか?
今回の症例にも当てはまる様に、首コリにより、首の筋肉にトリガーポイントが形成され、筋緊張、浮腫が起こっていると噛み締めや歯ぎしりが発生します。
凝っている自覚が無い人ほど重症化してから気付きます。
また、今回の様に顎の痛みなどの他の症状がある場合、痛みに気を取られてしまい、より首のコリを感じなくなります。
痛みを発生させているのは顎周辺の筋肉のトリガーポイントで、痛みの発生の原因である、噛み締めや歯ぎしりを引き起こしているのが頚部のトリガーポイントになります。
一見すると、顎の痛みは首とは関係ないかと思われますが、実は根本的な部分で深く関わっている場合が多いです。
顎だけを治療するより、首も一緒に治療することで治りは断然良くなりますし、顎の症状の根本的な改善にもつながります。