首・肩

首のこりから現れた複数の自律神経症状【30代男性】

■ 主訴
首・肩のこり、頭痛、眠りの浅さ、動悸など、いわゆる自律神経の乱れを伴う不調を抱えて来院されました。
– 長時間のデスクワークで、1日のほとんどをPC前で過ごしており、慢性的に首肩にこりを感じている。
– 特に起床時・仕事終わりにそのこりが強く、こめかみあたりに頭痛も頻発していた。
– 眠っても2時間毎に目が覚めてしまううえ、精神的ストレスがかかると動悸も。
– これまで整体やカイロプラクティックに1年ほど通っていたが、改善せず「身体の疲れが全然抜けない」「何とかしたい」とのことでご来院。
– 鍼は初めての経験でした。



■ 視診・触診所見
– 首〜背部にかけて筋浮腫(筋肉の張り・むくみ)が明らか。
– 頭半棘筋の停止部に触れると、こめかみ方向への違和感(認知覚)あり。
– 猫背姿勢が定着しており、肌に湿疹が見られ:これは交感神経緊張状態の所見と判断。
(※筋浮腫・こり→首肩~背部/姿勢の乱れ/交感神経優位)



■ 治療方針・治療部位
首・肩のこりから派生する自律神経症状ととらえ、以下を中心に集中的な治療を行いました。
– 僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋、上頭斜筋、菱形筋、胸部多裂筋 …など、首〜背部にかけての深部筋群。
– 頭痛には頭半棘筋のトリガーポイントを狙った施術。
– 動悸には上部胸椎(第1~5胸椎)直側のトリガーポイントを対象に。
※鍼による響き(“ひびき”/あえて刺激感を得る反応)を活かし、副交感神経の働きを促すことを意図しました。



■ 治療経過
• 1回目:治療部位に鍼を入れたとき、「当たってる(効いてる)」感触あり。頭半棘筋刺鍼時にはこめかみ方向の認知覚も得られた。
• 2回目:前回後、若干のだるさを感じたが、鍼の響きは「心地よい」とのこと。
• 3回目:頭痛の頻度が減少。施術後「身体が軽くなった」と実感。
• 5回目:筋浮腫の改善が目立ち始め、鍼の響きも感じやすくなってきた。「動悸が気にならなくなった」との声。
• 8回目:家族から「最近姿勢が良くなったね」と指摘される。首肩の動きも改善。
• 10回目:眠りの質がかなり改善。「夜中に目が覚める」回数が明らかに減。
• 15回目:頭痛ほぼ消失。頭痛薬なしで日常を送れるように。眠りの深さも確保でき、動悸は消失。仕事の負担や天候変化による波はあるものの、ここ数年で「一番楽な状態」とのこと。



■ まとめ
首のこりから生じる各種の「不定愁訴(頭痛・動悸・不眠など)」は、本当に多岐にわたります。人によって出る症状の種類も程度も異なりますが、頚部環境を整えることで、自律神経系の調整が可能です。
具体的には、首・肩まわりの筋肉が複雑に重なり合い、想像以上の厚みを持っています。深部に形成されるトリガーポイントには、鍼でなければ届かないケースも少なくありません。
中々改善しない「なんとなく身体がつらい」「原因がはっきりしない不調」――こうした状態を「不定愁訴」として一括りにされてしまいがちですが、すがぬま鍼灸院では、首〜背部の筋環境を丁寧に整えて、あなたの体調をしっかりサポートいたします。

– 頭痛には頭半棘筋のトリガーポイントを狙った施術。

– 動悸には上部胸椎(第1~5胸椎)直側のトリガーポイントを対象に