首・肩

肩前面の痛み 【30代男性】

右肩前面が痛く、肩を上げることが困難

鍼治療といえば、肩こりの治療というイメージが強いかと思います。
実際、肩こりに非常に効果的な治療法です。
では、肩の痛みの治療には効くのか?
そのような問い合わせをよく頂きます。
痛みや痺れの治療にも有効になります。
鍼治療を行うことで、治るまでの期間を大幅に短縮することができます。

症例を交えてご説明していきます。

主訴
右肩前面が痛く、肩を上げることが困難。

整形外科でレントゲンを撮ったが異常はなく、四十肩・五十肩と診断された。

バレーボールを長年やっており、サーブ・スパイクなどの動きで痛む。

服の脱ぎ着も辛い。

痛い方の肩を下にして寝れない。

子供を抱っこすると痛む。

何もしてなくても腕をだらんと垂らしているだけでも辛い。

バレーボールだけでなく、痛みで日常生活にも支障をきたすようになった為来院されました。

視診・触診

・肩関節外旋

肩関節外転60度以降から痛みが増していく。肩関節外旋が最も痛み、内旋は負荷をかけた場合のみ痛む。
三角筋前部繊維、棘下筋に筋硬結及び膨隆があり、圧痛がみられました。

治療
初めのうちは三角筋前部繊維、棘下筋停止部付近に認知覚がみられたが、治療していくうちに肩後面の棘下筋上部繊維と中部繊維の筋連結、小円筋へと認知覚が出現するポイントが変化していきました。

・三角筋前部線維

・棘下筋停止部付近

1回目:あまり変化がみられなかった。

2回目:10→5 肩前面の痛みが無くなり、日常生活では痛みが気にならなくなった。肩前面の痛みから肩後面に痛いポイントが移動した。
・棘下筋上部繊維と中部繊維の筋連結、小円筋

3回目:5→2 肩後面を集中的に施術し、多少筋トレできるほどまでになる。

痛みを完全に除去するために現在治療継続中です。

肩の痛みを引き起こす原因の多くは棘下筋が関与する

・棘下筋

棘下筋のトリガーポイントが原因で痛みを発生させる代表例が、四十肩・五十肩です。その次に多いのが、バレーボールや野球など、腕を上げる動作を繰り返すスポーツでの損傷です。

棘下筋は肩甲骨に覆い被さり、上腕骨の外側をぐるっと巻きつくようにして付着します。

肩の後面から前面にかけて筋肉が走行します。そのため痛みの範囲も肩後面〜前面と幅広い範囲で痛みを発生させます。
また、腕〜指先までの痺れなどの原因にもなります。

個人的な経験則ですが、肩の痛みの8~9割が棘下筋に形成されたトリガーポイントが原因と言っても過言ではありません。

肩関節は人体の中で最も可動域が広い関節になります。
本来なら関節は靭帯でガッチリと固定されていますが、肩関節は広い可動域を確保するためにゆるく固定されており、筋肉で支えている(ぶら下げている)様な構造になっています。

棘下筋は肩関節を構成する上で重要な役割を持つ筋肉です。

棘下筋の作用は外旋(腕を後ろに引く)と、肩関節を安定させる役割があります。

主にスポーツでは投球動作で痛めることが多く、その理由は、ボールと一緒に肩から先が飛んでいってしまうのを防ぐという重大な役目を棘下筋は持っており、棘下筋へかかる負荷は相当なものがあるからです。

しかし、だらんと腕を下に垂らしているだけでも、この筋肉は収縮し、緊張を強いられます。体重の約5~6%ある腕を常にぶら下げて、重量により引っ張られている状態になるので、棘下筋は常に休まることがありません。

そのためスポーツもしていない人でもこの筋肉に負荷がかかり続けるので、トリガーポイントが形成されて痛みが発生する確率も大変高くなります。四十肩・五十肩はこの様な負荷が長年かかり続け、蓄積された結果引き起こされます。

どちらの症状でも活性化したトリガーポイントを一つ一つ処理していけば早期回復が実現できます。
肩関節周囲の症状は早期治療が早期回復への近道です。

肩関節の痛みでお困りの方は是非ご相談ください。